安倍首相の中東歴訪 「平和と繁栄への貢献を」

http://mainichi.jp/opinion/news/20130502k0000m070135000c.htmlより、
社説:首相の中東歴訪 平和と繁栄への貢献を
毎日新聞 2013年05月02日 02時30分

 安倍晋三首相が4月30日から始めたサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコの3カ国歴訪は、中東・北アフリカ地域の平和と安定に貢献する姿勢を示し、エネルギー問題を中心に協力関係をさらに強めるのが主な狙いだ。実りある歴訪を期待したい。
 中東では2年前からの「アラブの春」により、チュニジアやエジプト、リビアなどで独裁政権が崩壊、さらにシリア情勢やイラン核問題、中東和平も含めて、なお激動期にある。化学兵器使用が確認されれば米国がシリアに本格介入する可能性があるし、イスラエルはイランの核施設を攻撃する姿勢を変えていない。
 こうした時期に日本の首相が中東主要国を訪れるのは意義深い。安倍首相は6年前にもサウジを含む中東5カ国を歴訪しており、中東重視の姿勢は評価に値しよう。今回の訪問にも経済界の代表団が随行し、「安定と繁栄に向けた包括的パートナーシップ」の一環として、経済関係の拡大・深化もめざしている。
 最初の訪問国サウジで安倍首相はサルマン皇太子と会談し、両国の「安全保障対話」を始めることで合意した。中東から日本への安定的な石油供給を図るために一歩踏み出し、ホルムズ海峡の安全航行やソマリア沖での海賊・テロ対策における協力も約束したわけだ。UAEにも同様の安保対話を提案する方針だ。
 ただ、前回の訪問で安倍首相はサウジの国王、UAEの大統領(いずれも元首)と会談した。今回はこの2人の元首が主たる会談相手に予定されなかったことは少々気になる。
 一方、親日的なトルコはシリア反体制派の拠点でもあり、首脳会談ではシリア情勢が一つの焦点になりそうだ。折も折、東京都の猪瀬直樹知事は米紙に対し「イスラム諸国が共有するのはアラー(神)だけで、お互いにケンカしている」などと語り、五輪開催候補地を擁するトルコを暗に批判した。後に撤回のうえ謝罪したが、日本のイスラム理解の貧しさを露呈する発言だった。
 注意を要するのは、安倍政権が中東への原発輸出に積極的なことだ。安倍首相はトルコ、UAEと原子力協定を結ぶ方針で、サウジとも同協定締結を視野に入れた事務レベル協議の開始で一致した。原発輸出が決まれば、東京電力福島第1原発の事故後では初のケースになるという。
 だが、エネルギー協力の一環と言われても、日本には原発輸出に慎重な意見も多い。トルコは地震が多く、湾岸諸国は政情に不安があるという事情もあるが、何より3・11を経験した日本国民が積極的な原発輸出を望むかどうかだ。安倍政権は慎重に、民意に耳を傾けるべきだろう。

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