敦賀原発 「退場勧告は当たり前だ」

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130523/plc13052303240001-n1.htmより、
産経新聞【主張】敦賀原発報告書 規制委の「暴走」許すな 廃炉ドミノで日本が衰える
2013.5.23 03:23

 原子力規制委員会(田中俊一委員長)は、報告書了承の重大性を理解しているのだろうか。
 規制委が了承した報告書は、同委の下に組織された専門家調査団が先週まとめたものである。
 報告書は、日本原子力発電の敦賀原子力発電所(福井県)2号機の直下を走る破砕帯(地層の割れ目)を活断層と認定している。
 国の基準では、活断層の上に原子炉の重要施設を設置することは認められていない。
 それゆえ、最悪のケースでは2号機の廃炉を余儀なくし、企業としての日本原電の存続を危うくしかねない内容なのだ。

 ≪止まらぬ「孤立と独善」≫
 そうなれば、国のエネルギー政策を揺るがすだけでなく、原発を受け入れて、長年にわたりエネルギー供給に協力してきた地元を裏切ることにもなる。
 事の重大性を考えれば、田中委員長以下、5人の委員が規制委として、時間をかけて議論しなければならない報告書である。
 その当然の対応がなされなかった。規制委は自己統御の機能を持ち合わせていないのでないか。このままでは、国内の全原発潰しに向かって暴走しかねない。
 原子力規制委員会設置法は「我が国の安全保障に資すること」を規制委の究極の目的に定めている。この点においても規制委の対応は不適切だ。
 島崎邦彦委員長代理と4人の専門家によってまとめられた報告書にも内容以前の問題がある。
 破砕帯に対する見解が、当事者の日本原電と専門家調査団の間で正反対であるからだ。
 調査団は、2号機下の破砕帯を活断層であるとした上で、近くの浦底断層が活動した場合には、同時に動いて直上の重要な施設に影響を与える恐れがあるとする。これに対し、日本原電は、この破砕帯は12万~13万年前以降に動いた活断層ではなく、浦底断層との連動性もないと反論している。
 恣意(しい)性が入りにくい科学論争での、これだけの隔たりは、尋常でない。原因の1つは調査団による現地調査の不足である。
 もう1つの原因は、専門家の選ばれ方にある。過去に原発の地質調査に関わったことがある大学教授などを一律排除したために、詳しい知見を持つ専門家が参加していない。その上、変動地形学の専門家に偏った。
 この偏りは、問題点として専門家自身から指摘されているほどである。さらなる原因は、日本原電の主張に耳を傾けようとしないことにある。複雑な地層に隠れている活断層の調査では、多角的な議論が不可欠だ。
 日本原電は、活断層ではないことを示すために6月末までの追加調査を実施中だが、専門家調査団は、その結果を待たずに報告書のとりまとめを急いだ。

 ≪今こそ政治の指導力を≫
 これら一連の対応は、規制委が自ら定めた「原子力規制委員会の組織理念」に反するものだ。「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」としているではないか。
 規制委が多用する「可能性が否定できない」の論法は、独善そのものにほかならない。
 海外の研究者などによる第三者検討チームからも日本原電の見解を支持する中間報告が出された。同社が委託した評価とはいえ、真摯(しんし)に受け止めるべきである。
 不可解なのが政治の沈黙だ。日本の商用原子力発電は日本原電によって始まっている。
 そのパイオニアが規制委の槍玉(やりだま)に挙げられて、そこから原発廃炉のドミノ倒しが始まりかねない状況であるにもかかわらず、国会議員の間からは、事態改善に向けての積極的で具体的なメッセージが聞こえてこない。
 規制委は、法律で独立性が保証されている三条委員会である。だからといって、拱手(きょうしゅ)傍観していれば資源貧国の日本のエネルギー政策は、確実に破綻する。シェールガスなどを発電に使っても、基幹電源の原子力なくしては、貿易赤字の肥大が止まらない。
 行政権が内閣に属していることは憲法に照らしても明らかだ。安倍晋三政権には、規制委の独立性を尊重しつつ、長期的な展望に立って、克服すべき課題と方向性を明確に示してもらいたい。政界だけでなく産業界も、原子力の安全利用の必要性について建設的な提言をしていくべきである。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013052302000131.htmlより、
東京新聞【社説】規制委が「活断層」認定 安全を優先する国へ
2013年5月23日

 原子力規制委員会が原発直下に活断層を認めたことは、日本の原子力史上の大きな転換点である。経済性よりも安全を優先させる、新しい一歩にしたい。
 きのうは、この国の原子力機関が、原発に初めて「ノー」と言った日だったとも言える。
 これで原発の安全神話はやっと過去のものになり、安全の文化、安全の科学の未来をひらくこともできるだろう。
 規制委は、昨年末の独自調査に基づいて、日本原子力発電(原電)敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の真下を走る「D-1破砕帯(断層)」を活断層と断定した。原子炉の直下で地層の大きなずれが起きれば、原発やその周辺が壊れかねないということだ。

◆もはや廃炉は免れない
 規制委が再稼働に必要な審査をしないという以上、その原発は動かせない。2号機をどうするかは、原電次第である。だが、核燃料がそこに存在する以上、安全とは言えず、管理にも費用がかかる。速やかに廃炉するしか道はないだろう。
 原電は「活断層の証拠は一切ない」として、追加調査を続けていく方針だ。
 これまでに規制委が現地調査を実施した関西電力大飯原発(福井県おおい町)や東北電力東通原発(青森県東通村)でも、事業者は活断層の存在を認めていない。
 象徴的なのは、全国で唯一稼働中の大飯原発3、4号機の安全性に関する関電の姿勢である。
 大飯原発近くの若狭湾には、二本の海底断層が走っており、陸側の熊川断層と影響し合う三連動地震の恐れがあるという。そのため規制委は関電に、想定できる最大の危険に備えるよう求めている。ところが、関電は「自社調査では連動しない」と拒み続けている。
 電力側が活断層の存在を否定するのは、ある意味当然とも言えるだろう。しかし、地域、国民の安全より事業者の利益を優先させてきたような旧来の規制行政のあり方が、安全神話をつくり上げ、福島事故につながったのではなかったか。
 だから国からも事業者からも独立し、最新の科学に基づいて判断できる規制委が必要になったのではなかったか。
 もちろん、大地震はいつ起きるか分からない。調査の長期化は、危険性を日々増大させる。安全を優先させた規制委の判断を支持したい。国民の大方も支持するところだろう。

◆疑わしきは「クロ」だ
 残念ながら日本は世界有数の地震国である。フィンランドのように古くて硬い岩盤に覆われた国とは違う。断層が走り、掘れば水が出る。原発の立地にはまず適さない。安全を優先させれば、原発は減らさざるをえない国柄なのだ。
 徳島県は昨年末、日本最大の活断層帯である中央構造線周辺で公共施設を造る時、事業者に活断層調査を義務付け、場合によっては建設を制限できる条例を制定した。地震の多い米カリフォルニア州では、活断層付近の建物建設を州法で禁じている。
 規制委は今後、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)1号機など五カ所で断層調査を予定している。
 こと地震に関しては「疑わしきはクロ」の方針を貫いてほしい。安全最優先の視点からすべての原発を自ら調査し直すべきである。
 規制委が孤立しているという声を聞く。
 しかし、独立と孤立は違う。原子力ムラからの孤立なら、国民の安全にとってはむしろ望ましい。
 原発に頼る暮らしがどうなるか。住民の不安は地元のみならず、日本の課題である。
 原発銀座といわれた敦賀では、国内有数の良港と発送電のインフラなどをいかした液化天然ガス(LNG)発電基地の構想が持ち上がっている。
 国策の誤りに対して、国は支援を惜しむべきではない。

◆廃炉から新たな雇用を
 原発技術の蓄積は、廃炉ビジネスに応用されるべきである。北ドイツのルブミンという町では、旧東独時代の原発を廃炉にしたあと、国が費用を負担する廃炉、解体が、新たな雇用を生み出した。
 脱原発とまちおこしの両立には、出力世界最大の東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市の関係者も、関心を強めている。
 3・11からやがて二十七カ月になる。だが、福島原発事故は、いまだ続いていると言ってもいい。
 事故に至った数々の過ちをもう一度よく反省し、命と安全優先への進化を図るべきなのは、規制委や電力事業者だけではない。
 私たち生活者も過去に学び、未来に備えねばならない。原発に頼らない国へと、私たちはもう歩きだしているのである。日本を変えつつあるのだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 5月 17 日(金)付
脱原発と地元―敦賀をモデルケースに

 現状維持はもはや夢物語だ。
 福島の原発事故の教訓から生まれた原子力規制委員会の有識者会合が、福井県敦賀市にある敦賀原発2号機の真下に活断層があると断定した。委員の一人は「これまで事故もなく経過してきたことは幸いと言うしかない」と述べている。
 活断層が動いて大事故ともなれば、真っ先に避難しなければならないのが敦賀市民だ。40キロ先には関西の水がめ、琵琶湖もある。天災は待ってくれない。
 敦賀市の河瀬一治市長は、結論は「断定ではない」などと反発する。地元の推進派からは、時間をかせげば、原発再稼働に前向きな安倍政権が何とかしてくれるという声も聞こえる。
 原発の立地自治体には、国が交付金をつぎ込んできた。そこで敦賀市に対し、「補助金目当ての抵抗」と言う人もいる。
 ここは、立ち止まって考えてみよう。脱原発社会を目指すには、地元での深刻な影響に正面から向きあう必要がある。
 かつて港を中心に栄えた敦賀市は、経済の中心が太平洋側に移る中、4基の原発を受け入れて地元経済の軸足を変えた。
 だが新型転換炉「ふげん」は廃炉作業中で、3・11後は老朽化する敦賀1号機の再稼働は見通せない。高速増殖原型炉「もんじゅ」も点検放置問題で再開のめどがない。敦賀2号機も廃炉となれば43年ぶりに原発の灯が絶える公算が大きい。
 原発の存在を前提としてきた市民生活は根底から揺さぶられる。特に雇用への影響が大きい。人口約6万8千人のうち、原発や関連施設で働く人は約5千人、旅館など原発と切り離せない仕事をする人も約5千人といわれる。家族も含めれば数万人が原発に暮らしを頼る。
 財政への影響も深刻だ。原発受け入れの見返りに、累計500億円の交付金を受け取った。固定資産税なども入れると予算の5分の1が原発関連の収入だ。医療費補助や消防署職員の人件費にも交付金がまわる。
 河瀬市長は今回の決定に反発する一方、仮に原発がなくなっても「廃炉には30年も40年もかかり、専門の会社が必要だ」「世界に原子力の安全を確保する技術を発信する道もある」と述べた。こうした転換が具体化すれば、敦賀市は脱原発の町のモデルケースとなりうる。
 国策を受け入れた自治体が原発と決別する。その試みを国や、関西などの電力消費地がどう手助けしていくべきか。
 敦賀が「原発銀座」から脱却できるよう、さまざまな後押しで知恵をしぼる時がきた。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130517/plc13051703100003-n1.htmより、
産経新聞【主張】敦賀の活断層 なぜ原電調査待てぬのか
2013.5.17 03:10 (1/2ページ)

 これが科学に立脚した判断なのか。首をかしげざるを得ない認定だ。
 原子力規制委員会の専門家調査団が、日本原子力発電の敦賀原子力発電所(福井県)2号機直下を走る破砕帯についてまとめた報告書の内容についての印象である。
 報告書は、この破砕帯を、原発の耐震設計上、考慮すべき活断層であると認定し、近くにある浦底断層が活動した場合には、同時に動いて直上の重要な施設に影響を与える恐れがあると結論づけた。
 しかし、日本原電は規制委の報告書に納得していない。同社は敷地内の詳細な地層調査をしており、その結果に基づいて問題の破砕帯は12万~13万年前以降に動いた活断層ではなく、浦底断層との連動性もないと反論してきた。
 日本原電は、主張を立証するために6月末までの追加調査を実施中だ。その結果が得られるまで報告書のまとめを待ってほしいと求めていたが、規制委側は一方的に議論を閉ざした形である。
 この打ち切りがいけない。規制委は昨年12月の初会合でも日程を短縮し、「活断層の可能性が高い」との判断を示している。これが科学論争の態度だろうか。相互に相手の意見を十分に聞いて検討し、理解を深めて正しい認識に迫るのが筋である。
 どうして規制委は、かくも結論を急ぐのか。日本原電の追加調査で、規制委に不都合な証拠が出てくるのを恐れているのではないかと思われても仕方あるまい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130517/plc13051703100003-n2.htmより、
2013.5.17 03:10 (2/2ページ)
 事は、日本原電の存続問題や、他の電力会社の経営圧迫にとどまらず、日本のエネルギー計画の根幹にも関わる重大事である。
 専門家調査団による報告書は、来週中にも規制委の会議に上げられる見通しだが、田中俊一委員長には慎重な対応を求めたい。
 今回の調査団の間からも、選ばれたメンバーの専門分野の偏りや、調査課題との間のミスマッチを認める声が上がっているではないか。田中委員長は、破砕帯を知り尽くした専門家を招いて、自らを主査とする調査団を再編成すべきである。
 その際には「原子力ムラ」排除の偏狭さは捨ててもらいたい。事業者側も納得できる公平な科学的判定のためである。
 このまま報告書を了承すれば、原発の真の安全性の判断に禍根を残すことになりかねない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55134520X10C13A5EA1000/より、
日経新聞 社説 原子力規制の転換示す活断層の認定
2013/5/17付

 原子力規制委員会が既存の2つの原子力発電所に対して厳しい判断を下した。安全を最優先で考える原子力規制に向けて大きな方向転換を示す判断だ。
 規制委の有識者会合は、日本原子力発電・敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の下に活断層があると認定した。これで2号機の運転再開は極めて困難になった。
 また高速増殖炉「もんじゅ」(同)で多数の点検漏れが発覚した日本原子力研究開発機構に対し、規制委は管理体制の見直しを命じた。もんじゅの早期運転再開も難しくなった。
 3.11以前、原子力規制当局は電力会社や政治の思惑から自由ではなかった。「国策民営」といわれる原子力推進の強い流れの中で、電力会社に甘い判断を下しがちだった歴史がある。
 そうした過去の反省から生まれた規制委が、科学的な事実にのみ立脚して活断層を認定し、独立した判断を示したのは設置の狙いに沿うものだといえる。
 また、ずさんな管理体制を繰り返し指摘されながら、改まるところがない原研機構に対して厳しい言葉で改善を命じたのも当然のことだ。安全を重視した今回の判断は評価したい。
 ただ規制委にも改善すべき点はある。規制委の信頼をより高めるため、注文したい。
 活断層調査について専門家の人選や議論の進め方が、科学的で中立性の高い判断をするうえで最善だっただろうか。地震や地質、地形など分野を超えた知識の結集が要る。それができていたか、改めて検証し、よりよい進め方を考えていくべきではないか。
 原子力は国論を二分する問題であり、再稼働にしろ廃炉にしろ利害関係者が多い。規制委の判断を関係者や国民にていねいに説明することも原子力規制の信頼回復のために大切なはずだ。これまでのところ規制委は説明責任を十分に果たしているとはいえない。
 規制委が抱える課題の多くは、事務局である原子力規制庁の人員や専門知識の不足に起因する。政府は規制庁の能力の拡充をもっと真剣に考えるべきだ。
 国は原発の存廃に関する手続きやルールを早く決める必要がある。これから廃炉を迫られる原発が出てくる可能性があるが、それらは国策に沿って建設され国が運転を認めてきた。後始末を電力会社だけにまかせるのは無責任だ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130517k0000m070108000c.htmlより、
社説:敦賀原発2号機 廃炉の環境整備を急げ
毎日新聞 2013年05月17日 02時33分

 原子力規制委員会の調査団が、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)直下を「耐震設計上考慮すべき活断層」が走っていると認定した。原電は納得せず、現地調査を続けて再検討を求める方針だが、これまでの規制委の議論を踏まえれば、結論が覆る可能性は極めて低い。
 原発の安全性を確保する立場から、調査団の結論を支持したい。規制委の島崎邦彦・委員長代理は「これまで事故がなかったのは幸いと言うしかない」と述べている。廃炉は不可避だ。敦賀2号機の建屋には、使用済み核燃料が保管されている。運転停止中でも、活断層が動けば大事故につながる恐れがある。
 規制委の調査団は昨年12月に現地調査を行い、直後に敦賀2号機直下の破砕帯(断層)を活断層とする見解をまとめていた。しかし、原電側が「有識者の専門分野に偏りがある」「審議の進め方が一方的」などと反発。自民党や地元自治体からも、規制委に対し、調査の徹底や議論の公正を求める声が出た。
 このため、規制委は他の専門家からも意見を聞く会合を開き、原電が反論する場も設けて、意見を闘わせた。それでも、結論は変わらなかった。原電は「合理的な判断とは言えない」と主張するが、可能性を否定できなければ「活断層」とみなす規制委の姿勢は妥当だと考える。
 廃炉の判断を下すのは原電だ。もちろんさまざまな影響が出る。
 原電は原発専門の電力卸売会社で、大手電力9社などの出資で設立された。敦賀原発1、2号機と東海第2原発(茨城県)の計3基を所有するが、老朽化や断層の存在、地元の反対などでいずれも再稼働のめどは立っていない。電力会社は原発の廃炉費用を積み立てているが、原電は3基の積み立てをまだ終えていない。廃炉は経営危機に直結する。
 そうなれば、設立母体の電力会社は、原電の損失肩代わりなどの支援を迫られる。電気料金の上昇要因にもなる。原電と他社との統合や廃炉専業会社への転換など、経営形態の見直し議論も出てくるだろう。
 原発立地に依存してきた地元自治体の財政や地域経済への影響も大きい。
 敦賀2号機の設置を認可した国も責任を免れない。廃炉費用の負担のあり方の議論や、新たな地域振興策など、廃炉に向けた環境整備に着手する必要がある。
 7月には原発の新規制基準が施行され、老朽化した原発も最新基準への適応が求められる。規制委による原発の活断層評価も続く。廃炉に追い込まれる原発がさらに出てくるはずだ。敦賀2号機の廃炉対策は、これからやってくる原発廃炉時代の試金石となるだろう。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 5月 16 日(木)付
敦賀原発―退場勧告は当たり前だ

 日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機は、廃炉にするしかない。
 原子炉直下に活断層があると原子力規制委員会の有識者会合がきのう結論づけ、規制委も近く同意するからだ。国はかねて活断層の真上への原発建設は認めておらず、規制委はこのルールを敦賀2号機に適用する。
 日本で初めて、安全の観点から原発に退場勧告が言い渡されることになる。
 今回の議論の進め方は妥当であり、結論を支持する。
 とりわけ、有識者会合が過去のしがらみを絶ち、これまで原発の安全審査などにかかわったことのない研究者で構成された点を評価したい。
 人選は日本活断層学会など関係学会の推薦にもとづき、客観性を保った。電力業界からの研究費寄付などを公開する決まりも新たにつくった。
 あくまで独立した立場から安全規制を実践しようとする取り組みであり、堅持すべきだ。
 敦賀2号機を廃炉にするかどうかは、原電が決める。
 原電は有識者会合の結論に納得していない。反論の権利はあるが、覆すだけの科学的根拠がないまま「休炉」を続けるのは、核セキュリティーを含む安全を考えると好ましくない。
 原電に出資する電力各社とともに、廃炉を前提に経営計画を早く抜本的に見直すべきだ。
 活断層研究はまだ発展途上の学問領域だ。今回は違うが、研究者によって活断層かどうかの判断がわかれることも少なくない。かつて「活断層ではない」と判断されたものが、学問の進展で「活断層である」と変わることはあるだろう。
 最新の科学的判断を最優先させるためには、大きな損失を被る事業主に国が何らかの支援をすることも考えられる。
 一方、気になる動きがある。
 原発再稼働を求める自民党の議員連盟が発足した。原発立地県の選出議員がずらりと名を連ね、会合では規制委に対する不満が噴出したという。
 福島第一原発事故は、原子力規制行政の失敗を示すものでもあった。その反省から、原子力の推進から切り離して誕生したのが今の規制委だ。
 原発事故はたまたま、民主党政権のときに起きたが、自民党は長く原発推進を国策として進めてきた。
 私たちはまだ、事故以前の原発推進政策について、自民党から具体的な反省を何ら聞かされていない。
 なしくずしに「3・11以前」に戻すことは許されない。

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