財政再建 どこが「骨太」なのか

http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit2より、
朝日新聞 社説 2013年 6月 8 日(土)付
財政再建―どこが「骨太」なのか

 財政再建への決意が、何も感じられない代物である。
 政府の経済財政諮問会議が、経済運営の基本方針となる「骨太の方針」を固めた。
 基礎的な財政収支の赤字を、GDP(国内総生産)比で15年度までに10年度の半分にし、20年度までに黒字化する。この目標を改めて明記はした。
 ところが、その道筋を示す中期財政計画は、7月の参院選後に先送りしてしまった。
 「停滞の20年から再生の10年へ」と名付けたシナリオは、デフレ脱却と成長戦略で名目GDPが毎年3%ずつ膨らみ、10年代後半には成長率がさらに高まると描く。並行して税収も増える「経済再生と財政健全化の好循環」を強調する。
 しかし、過去20年の名目成長率は平均マイナス0・2%だ。前提が甘すぎる。
 歳出削減を打ち出して、参院選で支持団体や有権者の不評を買いたくない。そんな与党の意向を踏まえてのことだろう。
 個別の分野でも、歳出抑制にはほど遠い。
 社会保障では、70歳代前半の医療費の窓口負担を本来の2割から1割に下げている特例の見直しについて、「早期に結論を得る」と述べるにとどまった。
 一方で、自民党内に批判が強い生活保護は「給付水準を見直す」と削減を続ける構えだ。声をあげにくい層への負担のしわよせではないか。
 公共事業は、自民党が掲げる「国土強靱(きょうじん)化」の文言を盛り込んだ。予算の積み増しに道を開きかねない。
 日銀が「異次元緩和」で国債を大量に買い始めた後、国債の相場は不安定になっている。先進国のなかで最悪の財政状況にあるだけに、「政府の借金に日銀が手を貸している」と見られると、国債の暴落(利回りの急騰)を招きかねない。そうなると、成長戦略も財政再建も吹き飛んでしまう。
 聖域なき見直し、予算の重点化と効率化、むだの排除――。骨太方針には言葉が躍るが、諮問会議の役割は「なぜ、それができていないのか」を問い詰めることだろう。
 自民党が野党時代に提案した「財政健全化責任法」は必要ないのか。復興予算で明らかになったようなばらまきをなくすために、政府や国会による現在のチェックの仕組みをどう改めるべきなのか。
 課題は山積しているのに、諮問会議では突っ込んだ議論が見られない。
 そんな諮問会議や骨太方針なら、早くやめた方がいい。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130608/plc13060803030003-n1.htmより、
産経新聞【主張】骨太の方針 覚悟もって改革を進めよ
2013.6.8 03:02

 政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」素案がまとまった。アベノミクス第3の矢である成長戦略とともに近く閣議決定される予定だ。
 この成長戦略と骨太の方針は、安倍晋三政権が掲げる脱デフレ、日本経済再生への両輪だ。骨太で「経済再生」と「財政健全化」の両立を打ち出すかたちでこの点を強調し経済財政政策の基本理念としたことを評価したい。
 ただ、その一方で第3弾まで公表された成長戦略では、農業分野をはじめとする規制改革への踏み込み不足や法人税減税への言及がないことなどで物足りなさが指摘されている。
 本来骨太の方針は改革を推進するテコとして、こうした懸念を払拭する鍵になり得るものである。実際、平成13年に骨太の方針を始めた小泉純一郎元首相は、財政再建と大胆な規制改革を打ち出した。予算編成や規制撤廃などで既得権益を脅かされて抵抗した勢力を押さえ込む根拠とし、郵政民営化などの改革を実現させた。
 小泉内閣が国民の支持を得ていたうえ、何よりも小泉氏自身に骨太を活用するとの意志があったからだ。小泉首相退陣後、骨太の方針は徐々に形骸化し、民主党への政権交代で終止符を打たれた。
 今回、4年ぶりにあえて骨太の方針を復活させた安倍首相には、小泉内閣当時のように骨太を既得権益に切り込むための武器にする意気込みと覚悟を期待したい。
 同時に財政健全化についても、着実な実行を促すには強い抵抗が予想される。
 しかし、長期金利や株式市場の安定を通じて、大胆な金融緩和、財政出動、成長戦略の「三本の矢」が持続的に効果を発揮するためには、財政健全化は極めて重要になる。
 成長で税収が増え、財政健全化が進み、それがさらに経済成長を促す好循環をめざさなければならない。素案では、財政健全化目標は示しているが、その道筋は不透明といわざるを得ない。
 安倍政権は成長戦略の実行によって、1人当たり国民総所得を10年後に150万円以上増やすとしている。そのためには、安倍首相が成長戦略で示した内容以上に踏み込む必要がある。骨太の方針は「三本の矢」をさらに力強くするエンジンになることが求められている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013060702000126.htmlより、
東京新聞【社説】アベノミクス 国民主役の成長戦略を
2013年6月7日

 安倍政権の経済政策アベノミクスが雲行き怪しい。異次元の金融緩和で盛り上がった市場も、肝心の成長戦略で失望が広がった。企業最優先でなく、国民が幸せになれる成長戦略に転換すべきだ。
 安倍政権は六日、成長戦略に続いて経済・財政政策の指針となる骨太の方針をまとめた。社会保障費抑制のために生活保護をさらに削り込む一方、公共事業は重視するなど相変わらずの姿勢である。
 成長戦略の眼目は「世界で一番企業が活動しやすい国」にすることだという。外資を含め企業が進出しやすいよう税制や規制に配慮した「国家戦略特区」をつくる。安全性が確認された原発の再稼働を進める。二〇二〇年にインフラ輸出を三倍に増やし、外国企業の対日直接投資額を倍増させる、などが目玉だ。
 「成長戦略の一丁目一番地」とした規制改革では、解雇しやすい正社員といわれる限定正社員の雇用ルールを来年度に決める方針を打ち出した。
 これらアベノミクスの成長戦略に通底するのは、経済界の要望に沿った企業利益を最優先する思想であり、働く人や生活者は置き去りにした国民不在の空疎な政策である。「富める者が富めば貧しい者にも富が自然に浸透する」というトリクルダウン経済理論によるといわれるが、米国では貧富の格差がさらに拡大する逆の効果が起きたのは広く知られるところだ。
 そんな経済界に配慮したはずの成長戦略だったが、市場の反応は冷淡だ。それは一言でいえば、総花的に事業を並べたものの、目標達成までの実現性が疑わしいためである。規制改革でも参院選勝利を最優先して農協や医師会などの既得権には切り込まず、まやかしの姿勢が市場に見透かされた。
 そもそも成長戦略や規制改革は誰のためのものか。国民を不幸にするものならば、ない方がましである。介護や医療、文化、スポーツなど国民の幸福につながる成長分野は多々あるはずだ。
 デフレ脱却のために経済成長は必要である。だとしても、そのために原発再稼働を急いだり、他国に原発を輸出するのは間違っている。福島原発事故の原因すら究明できていないのである。
 フクシマを経験した日本がなすべき成長戦略は、再生可能エネルギーや省エネ分野の研究、実用化に注力することではないのか。世界で一番を目指すならば、こうした地球規模で貢献できる仕事こそがふさわしい使命である。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55939130X00C13A6EA1000/より、
日経新聞 社説 この規制改革は一丁目一番地に値するか
2013/6/7付

 安倍晋三首相が再始動させた規制改革会議が答申を出した。4カ月の短い間に雇用分野などの改革策を示したのは、民主党政権がほとんど何もしなかったのに比べれば前進だ。だが医療、農業分野の岩盤規制には踏みこまなかった。
 私たちは岩盤規制の内側にいる既得権益団体や規制官庁との対決にひるまぬ覚悟を首相に求めてきた。首相は成長戦略を語った講演で「規制改革こそが一丁目一番地だ。国論を二分する岩盤に立ちむかう」と述べたが、答申はその言葉に値するとは言いがたい。
 岩盤規制が阻む代表は2つ。混合診療と企業の農地所有である。
 混合診療をみとめるのは十年来の政策課題だ。患者が健康保険のきく診療と自由診療を合わせて受けるのを厚生労働省は原則、禁じている。例外として一部の先進医療との併用をみとめているが、種類を限定し、いずれは保険診療にふくめるのを前提にしている。
 がん治療などの分野では、世界中の製薬会社が新薬開発にしのぎを削っている。なかには特定の患者の特定の病状にだけ、よくきく高価な薬が出てきた。このような薬を試したい患者は少なくない。
 その切実な願いにこたえるために、保険外でも効果と安全性を確認して使えるようにするのが、患者本位の医療改革ではないか。
 また農林水産省は民間企業に農地所有をみとめず、農業生産法人への出資を5割未満に制限している。この農地規制が、耕作放棄地が増大する一因なのは明らかだ。
 農業への参入に意欲を燃やす企業が経営規模を広げやすくするために、所有規制はゆるめるのが当然だ。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加にそなえ、グローバル競争に耐えうる農業をつくるためにも、それは必要である。
 改革会議の答申には雇用分野にみるべき点もある。たとえば仕事の中身、勤める場所、働く時間を絞りこむジョブ型正社員(限定社員)を広げるために、来年度に新しいルールをつくると明記した。
 正社員と非正規社員の2分類を超え、双方の良い面をあわせ持つ働き方を根づかせて働き手の選択肢を増やすために、ルールをつくる厚労省の手腕がためされる。
 答申は官僚が集めた細かい項目も並ぶが、このような制度変更は本来、改革会議の仕事ではない。真の成長戦略へ向け、改革はむしろこれからが本番だ。次の答申へ向け、硬い岩盤に挑んでほしい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55897750W3A600C1EA1000/より、
日経新聞 社説 成長戦略の目標ばかり躍っていないか
2013/6/6付

 安倍晋三首相が成長戦略の第3弾を発表した。国際的なビジネス環境を整える「国家戦略特区」の創設、電力や医療といった公的部門の開放が柱だ。1人あたりの国民総所得を今後10年間で150万円以上増やす考えも示した。
 民間部門の活力を存分に引き出し、外需の取り込みや内需の掘り起こしを促すという発想自体は悪くない。しかし輸出や投資の数値目標ばかりが先に立ち、肝心の規制緩和や税制措置などの中身があいまいなのは否めない。
 成長戦略の第1弾は医療産業の育成や女性の活躍、第2弾は設備投資の拡大や農業の活性化に重点を置いた。これに続く第3弾は民間活力の喚起を目指している。
 海外の企業を呼び込む国家戦略特区では、建物の容積率を緩和したり、外国人医師の医療行為を認めたりする。一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売の解禁、空港や道路を対象とするPFI(民間資金を活用した社会資本整備)の拡大にも踏み切る。
 こうした方針を掲げるのはいいが、手段や実効性が定かではないものが目立つ。国家戦略特区に認める規制緩和や税制措置の詰めはこれからで、インターネットで販売できる市販薬から需要の大きい商品が外れる可能性もある。
 ところが数値目標の方は歯切れがいい。首相は国民総所得の拡大にとどまらず、PFI事業を3倍、外国企業の対日直接投資を2倍、電力関係の投資を1.5倍に増やす意向を次々に表明した。
 聞こえのいい数値目標をアピールすることに執着するよりも、具体策を充実させる方に専念すべきではないのだろうか。成長戦略の工程表を明確にし、確実に実行したいという気持ちはわかるが、重点の置き方には疑問が残る。
 首相が発表した施策や規制改革会議の答申を踏まえ、政府は成長戦略の素案をまとめた。今後5年間を「緊急構造改革期間」と位置づけるといった文句が躍るわりには、法人実効税率引き下げのような抜本策に踏み込めていない。
 日本が金融緩和と財政出動に頼り続けることはできない。株価や長期金利の変動にも耐え、本格的に経済を再生するには、企業や個人の活性化につながる成長戦略の中身が決定的に重要である。
 14日に閣議決定する成長戦略の最終案は、国内外の期待に本当にこたえられるのか。安倍政権は最後まで内容を精査すべきだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130606k0000m070117000c.htmlより、
社説:成長戦略 風呂敷広げただけでは
毎日新聞 2013年06月06日 02時33分

 安倍政権は、経済政策「アベノミクス」の第一の矢で大胆な金融緩和という劇薬を使い、円安・株高の成果を上げた。だが、株価、長期金利の乱高下という副作用を見せつけている。金融市場が不安定なのは、経済がまだ本格的な回復軌道に乗っていないからだ。
 金融緩和、そして第二の矢の財政出動に続く第三の矢の「成長戦略」が固まった。金融緩和が金融市場に与えた影響に比べると迫力を欠く内容で、手をつけやすい政策を総花的に並べた印象は否めない。経済を本格回復に向かわせる内容とはまだとても言えない。
 成長戦略は国の支援で民間投資を促し、経済活性化や雇用拡大を目指すもので、各分野で数値目標を掲げた。「10年後に1人あたり国民総所得を150万円増やす」「2020年にインフラ輸出を3倍の30兆円にする」「20年に農産物・食品の輸出を2倍の1兆円にする」。風呂敷を広げた半面、それを達成する具体的な道筋は見えてこない。
 かなり先の目標の達成に安倍政権がどう責任を持つのか、言いっぱなしになってしまわないかも疑問だ。
 ポイントは「設備投資を3年間で1割増の年間70兆円に」とする数値目標だ。70兆円は08年のリーマン・ショック前の水準。1割増という地味な目標だが、達成は容易でない。今年1〜3月期の設備投資はまだ前年比マイナスなのだ。
 これを実現する具体策として、成長戦略には生産設備の新陳代謝を進める税制支援の拡充、医療機器など最先端設備の投資を促すリース支援措置などが盛り込まれた。個別項目は具体的なのだが、経営者の投資意欲を大きくかき立てる内容とは言いにくい。
 目玉の一つである「国家戦略特区」は地域限定で大胆に規制緩和や減税をする取り組みだが、減税の具体策は先送りされ、ビジネスマンが都心に住みやすいよう高層マンションの容積率を緩和したり、外国人医師が国内で診察をしやすくしたりする規制改革にとどまっている。安倍晋三首相が言う「民間活力の爆発」を起こすには力不足だ。
 供給過剰、アジアとの競争など企業は課題を抱える。成長戦略でも、「過少投資」「過剰規制」「過当競争」という産業界の抱えたゆがみを根本から是正すると強調した。問題意識はその通りだが、処方箋としては不十分だ。
 政府は、成長戦略を具体化する産業競争力強化法案を秋の臨時国会に提出する。「次元の違う政策を次元の違うやり方で」と安倍首相は力説したが、企業活力を真に引き出す政策を引き続き検討し、実現することが求められる。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130606ddm003020083000c.htmlより、
クローズアップ2013:成長戦略素案 難所先送り、迫力不足 参院選前、配慮余儀なく
毎日新聞 2013年06月06日 東京朝刊

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「第三の矢」となる成長戦略の素案が5日、示された。参院選をにらみ、懸案事項の先送り感は否めない内容で、規制改革などについても踏み込み不足が目立つ。6日に開かれる経済財政諮問会議では、政府の中期的な経済財政運営の方向性を示す「骨太の方針」の素案が示され、アベノミクスは出そろうが、日本が長引くデフレから脱却し、本格的な成長軌道を描けるか、課題を残しそうだ。【横田愛、中井正裕、大久保陽一】

 「政策を実行していくために必要なものは政治の安定だ。参院選は日本の政治を取り戻す戦いでもある」
 安倍晋三首相は成長戦略第3弾を発表した5日の講演を参院選への意気込みで締めくくった。矢継ぎ早に成長戦略を打ち出すことで経済再生の取り組みを強調し、選挙戦に臨むのが首相官邸の基本戦略。しかし、第3弾の取りまとめは難航した。
 成長戦略に盛り込まれた構造改革や規制緩和は、政府の産業競争力会議や規制改革会議で議論されている。競争力会議では、複数の民間議員が一般企業による農地取得の解禁を提案したが、農水省は「企業が撤退すれば耕作放棄地になる」と抵抗。一方、規制改革会議は農業の規制を巡る議論を始めたばかりで、5日の答申から農業は外れた。政府・与党の議論が本格化するのは、7月の参院選後にずれ込む見通しだ。
 参院選をにらむと、自民党の集票マシンとなる業界団体に一定の配慮をせざるを得ない。5月下旬、首相周辺は「海外投資家は成長戦略への期待が相当大きい。期待にこたえられずに株価や支持率が下がる事態は避けたい。切れ味のある目玉が必要だ」との不安を漏らした。
 懸念は的中し、「目玉」探しは難航。首相が演説で最初に挙げたのが、前日の4日に関係閣僚が合意した一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売解禁だったところに、官邸の苦悩がにじんだ。ネット販売解禁は規制緩和の象徴的な意味こそあれ、「市場は大きくない」(政府関係者)のが実情だ。
 規制改革といえば、小泉内閣時代には首相サイドと関係省庁、自民党族議員との間で激しい攻防が繰り広げられるのが通例だった。だが、今回のメニューが「小粒」なこともあって、自民党内の反発はさほど強くない。5日の党規制改革検討委員会では三ツ矢憲生事務局長が「いったい何が目玉なのか。対外的に説明できるようまとめてほしい」と注文をつけたほどだった。
 東京株式市場の日経平均株価は5日、今年3番目の大きな下げ幅になった。「成長戦略、規制緩和が市場の期待に沿っていなかったのではないか」。記者会見での率直な質問に、菅義偉官房長官は「まったく感じていない」と否定してみせた。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130606ddm003020083000c2.htmlより、
 しかし、市場の期待をつなぎとめることができなければ、内閣支持率にもはね返る。首相は講演で早くも予防線を張った。「来週決定する成長戦略は一つの通過点。さらなる高みを目指して絶えず発展させていく。『シーズン2』(第2期)に向けたスタートだ」

 ◇法人税や農業、及び腰
 成長戦略の素案で、政府は「先端医療研究の司令塔」の創設など、省庁間の壁を取り払った前例のない取り組みも打ち出した。政策の達成状況をチェックする「政策成果指標」(KPI)も設定し、政策の実効性を高めたい考えだ。ただ、産業界の要望が強かった、法人税減税や農業分野で新規参入を促す具体策は抜け落ちた格好だ。成長への道筋が明確になったとは言い難い。
 「安倍首相のリーダーシップがあってこそ実現できた」。経済産業省幹部は、安倍首相の存在が素案とりまとめの最大のカギだったと持ち上げた。例えば、米国の国立衛生研究所(NIH)をモデルにした先端医療研究の司令塔「日本版NIH」の創設。これまでの医療分野の政策は、基礎研究を文部科学省、臨床応用を厚生労働省、産業育成を経産省が担当するなど縦割りの典型だった。
 産業競争力会議のスタートは1月だったが、3月には安倍首相が研究、臨床、産業の壁を取り払うよう指示。4月に成長戦略第1弾の目玉の一つとして日本版NIH創設が提示されたが、政府関係者は「従来なら1年近くかかったところを短時間でまとめたのは、まさに異次元のスピード感だった」と自賛する。
 また、数値目標と達成年次を示すKPIを設定したことで、政策の達成度を確認できるようにした点もポイント。2030年までの中長期のロードマップ(工程表)などを合わせて示し、目標だけで終わらせず結果を出す姿勢を強調。甘利明経済再生担当相は、各分野の達成度を年1回以上検証し、目標達成に必要な追加措置を講じる姿勢を示す。
 ただ、一連の成長戦略を確実に軌道に乗せるため、安倍首相が「一丁目一番地」と訴えていた規制改革分野では、踏み込み不足が目立つ。産業界を中心に提案された混合診療の全面解禁は見送られたほか、労働契約法に「解雇自由」の原則を規定し、再就職支援金を支払えば従業員を解雇できる「解雇ルール」緩和などは先送りされた。竹中平蔵慶大教授らが提案した法人実効税率の引き下げなど産業競争力会議の民間議員の大胆な提言は盛り込まれず、及び腰とも取られかねない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130606ddm003020083000c3.htmlより、
 素案の目玉施策の一つである「国家戦略特区」に関連し、東京都の猪瀬直樹知事が5月に提案した日本の標準時を2時間早める提言についても、甘利氏は「大胆な政策」と評価したが、最終的には盛り込まれなかった。政府関係者は「規制改革の提案はハードルが高かった」と説明するしかなかった。

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