リニア中央新幹線 「うまく乗りこなせるか」

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130924/biz13092403060000-n1.htmより、
産経新聞【主張】リニア新幹線 新「超特急」に再生託そう
2013.9.24 03:06 (1/2ページ)

 JR東海が平成39年の開業を目指す、東京・品川-名古屋間のリニア中央新幹線の詳細計画が固まった。
 走行ルートや中間駅の具体的な場所が決まり、来年度中の着工を目指す。国鉄時代の昭和48年の基本計画決定から40年を経て、新しい「夢の超特急」はいよいよ開業への具体的一歩を踏み出す。日本経済立て直しの追い風としたい。
 強力な磁力で車両を10センチも浮上させ、時速500キロ以上の超高速で走らせる日本の超電導リニア技術は、世界の最先端に位置する。日本の高い鉄道技術を改めて世界に示す好機ともなろう。
 日本が目指すインフラ輸出の中でも、環境負荷が小さい大量輸送手段の鉄道技術は、アジアを中心に大きな需要がある。深さ40メートル以上の大深度地下の掘削技術とともに、リニア新幹線の成功は、日本が今後、官民一体で海外売り込みを果たす上で大いに役立つ。
 リニア新幹線の建設は、国が巨額の資金を投入する公共事業としてではなく、JR東海が全額自己負担で行う。東京-名古屋間だけで工事費は5兆4千億円とされ、平成57年に予定される東京-大阪間の全線開業までの最終的な総投資額は、10兆円を軽く突破する可能性がある。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130924/biz13092403060000-n2.htmより、
2013.9.24 03:06 (2/2ページ)
 同社が、そうした巨額投資のリスクを背負ってまでリニア建設に挑むのは、東海道新幹線では、今以上のスピードアップや輸送力の増強が望めないからだ。
 高い確率で発生が予想される東海沖地震に備えたバイパス線の建設という狙いもある。JR東海にとってリニアは、さまざまな意味で社の命運が懸かっている。
 最高時速500キロで走行し、東京と名古屋を最短40分で結ぶ。東京-大阪間も1時間強で結ばれる予定だ。その場合、同区間の航空旅客は、ほとんどが新幹線に流れそうだ。リニア新幹線の完成により、二大都市間の輸送は大きく姿を変えることになる。
 中央リニアの建設が順調に進めば、国内での今後の新線建設計画も浮上する可能性がある。羽田、成田の両空港間はその一例だ。
 東京-大阪間が通勤圏となれば、人的往来の活発化を通じて経済圏としての一体化も進む。その時、日本経済はどう変わるのか。国も先を見越した国づくり、都市圏づくりを、しっかりと進めておく必要があるだろう。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130923k0000m070075000c.htmlより、
社説:リニア新幹線 国民的議論が必要だ
毎日新聞 2013年09月23日 02時31分

 夢物語のようだったリニア新幹線が、急に現実味を帯びてきた。2027年に東京・品川−名古屋の開業を目指すJR東海が、環境影響評価準備書を公表し、詳しいルートや駅の位置が明らかになった。必要な手続きや国の認可を経て、来年度には着工したいという。
 沿線では早くも期待が膨らんでいる所もあるようだ。しかし、リニア中央新幹線は何十年に1度という超大型の国家的プロジェクトである。関係する都府県やJR東海という一企業だけの問題ではない。疑問や不安もまだ多く、今こそ徹底した国民的議論が必要である。
 リニアの強さは何といっても最高時速500キロという速さだ。計画では27年に品川−名古屋が最短40分、45年には品川−大阪が1時間強で結ばれる。その経済効果は十数兆円という民間試算もあるようだ。
 一方で、リニアという全く新しい技術を使った交通手段の導入には多くの未知数がある。まず、建設工事に関するものだ。名古屋までの全長286キロのうち約86%が地下やトンネル内の走行となる。中でも南アルプスを貫通する約25キロのトンネルは崩落や異常出水の危険がある地層を横切るため難工事が心配される。
 そして経済的未知数だ。総建設費は在来型の新幹線を大幅に上回る約9兆円と見積もられているが、さらに膨らまない保証はない。人口減少や高齢化が進む中、想定通りの利用者を確保できない恐れもある。大阪までつながるのは、今から32年も先なのだ。東海道新幹線とリニアを両方抱え、利益を維持できるのか。
 リニア中央新幹線の基本計画ができたのは40年前である。この間、日本の経済や社会構造は激変し、在来型新幹線の性能も格段と向上した。特に東日本大震災後、エネルギーをとりまく環境が変わり、大地震のリスクも一層認識されるようになっている。ピーク時の消費電力が新幹線の3倍とも言われ、地中深く走るリニアは本当に望まれる乗り物か。
 建設費は全額JR東海が負担する。しかし、だからといって一民間企業の設備投資と片付けるわけにはいかない。万一事業が失敗しJR東海が経営難に陥った場合、その公共性から国家(国民)が支援を求められる可能性も皆無ではないのだ。
 JR東海には沿線住民はもちろん、国民全体に納得のいく説明をしてほしい。国会で集中的に審議されたことがないが、客観的、中立的データに基づく政策論議が不可欠だ。
 関係者のみの楽観的見通しで突っ走ってはならない−−。福島第1原発事故から日本が学んだ教訓の一つだ。20年の東京五輪に間に合わせようという発想など論外である。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013092102000150.htmlより、
東京新聞【社説】リニア新幹線 うまく乗りこなすには
2013年9月21日

 東京と名古屋をわずか四十分で結ぶリニア中央新幹線には、日本の技術力、ものづくり精神が凝縮されている。最新鋭の鉄道をどう乗りこなしたらいいか。利用する私たちも知恵を絞る必要がある。
 移動時間の劇的な短縮によって人々の生活や企業活動が大きく変わるのは間違いない。経済効果は十兆円を超すと見込まれている。
 旧国鉄が中央新幹線の研究を始めたのは一九六二年。東京-大阪間を飛行機並みの一時間で移動できる高速鉄道を目標に掲げた。東海道新幹線が開業する二年前のことで、すでに次の一手を考えていたのは驚きだが、鉄道をつくる者には当然の発想だったのかもしれない。
 世界初の超電導リニア実用化を目指す姿勢は、ものづくりへのこだわりにほかならない。ただ、国鉄民営化、バブル崩壊など時代の流れの影響で、巨額の投資が必要なリニア計画に日が当たらない時期が続いた。
 リニアへの注目を再び集めたのが、二〇〇五年の愛・地球博(愛知万博)だ。JR東海のパビリオンでリニア実験車両の実物を展示し、来場者にアピールした。
 実はこのころ、JR東海の社内でさえも、「営業運転は無理だろう」と冷ややかな意見があった。万博への出展は、経営陣が内外に向けて本気度を示す戦略だったようだ。
 各種の行政手続きを経て今回、路線や駅の最終案がまとまった。半世紀の歴史を振り返ると、関係者の苦労は素直に評価したい。
 とはいえ、大切なのはこれからだ。二七年の開業に向け、建設時には環境への影響を最小限にとどめる必要がある。リニア車両は大量の電力を消費するため、省エネ化の道を探るべきだ。的確な需要動向の調査も欠かせない。
 私たちも、リニアをどうやって乗りこなし、活用するかを考えるときを迎えている。
 東京と名古屋の所要時間は新幹線「のぞみ」より一時間も縮まるが、試算では料金は七百円高いだけだ。リニアの利用で生まれる時間の余裕は、ビジネスやレジャーの幅を広げそうだ。
 中間駅の設置が決まった沿線都市周辺でも、新たな街づくりの模索が始まっている。首都圏や中部圏からの観光客が増える可能性もあり、関連業界は活気づく。
 もちろんまだ暮らしや仕事にどれだけの変化が訪れるのか、見通せない部分は多い。想像力を働かせつつ、探っていきたい。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60004160R20C13A9EA1000/より、
日経新聞 社説 リニアの課題を克服できるか
2013/9/21付

 2027年開通予定の東京―名古屋間のリニア中央新幹線について、事業主体の東海旅客鉄道(JR東海)が駅の場所やルートを公表した。同社は国の認可を得て、来年度中にも着工する計画だ。
 南アルプスを貫通して東名間をほぼ直線状に結ぶ中央リニアは、日本という国に、もう一つ新たな背骨を埋め込むような、久々の大型プロジェクトである。
 まず期待したいのは経済効果だ。現在約1時間40分かかる東名間の移動が40分に縮まり、首都圏と中京圏が一体化した新たな経済圏が誕生する可能性がある。
 将来は大阪まで延ばし、東阪を1時間で結ぶ。日本の大動脈である東名阪の往来が増えれば、経済は活性化するだろう。
 地震や津波に強い国づくりにも寄与する。東海道新幹線と中央リニアを並行営業するので、どちらか一方が被災しても、バイパスを確保できる。世界に先駆けて長距離リニアを実用化することで、海外への展開も期待される。
 だが、課題も多い。東名ルートの86%がトンネルであり、南アルプスを貫く難工事も待ち受ける。
 都心部では、地下40メートル以下の「大深度地下」を活用する。地上の用地取得が要らず、建設費や工期を圧縮できる利点があるが、やはり工事はたいへんだ。
 事業の採算確保も、大きな課題である。そもそも中央リニアは、総工費9兆円の巨大インフラを一民間企業のJR東海が独力でつくる異例の計画だ。人口減の進む日本で、リニアと東海道新幹線の両路線を満たす需要をどう生むのか。沿線住民の理解を得つつ、円滑に工事を進め、建設コストや工期を想定の範囲に抑えられるのか。JR東海の底力が問われる。
 夢物語と思われた計画が現実に近づき、政財界などから「20年の東京五輪に間に合わせてほしい」「名阪ルートは奈良経由でなく、京都経由で」と様々な声が上がり始めた。だが、最後は投資リスクを取るJR東海の判断を優先すべきなのは言うまでもない。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130919ddn003020024000c.htmlより、
クローズアップ2013:夢、不安、リニア始動 27年東京・名古屋、経済効果10.7兆円
毎日新聞 2013年09月19日 大阪朝刊

 ◇建設費9兆円、JR負担
 JR東海が18日、来年度着工予定のリニア中央新幹線の詳細ルートと駅の場所を発表し、日本の新たな大動脈が全容を見せ始めた。大阪までの全線が開業すれば、日本の3大都市が1時間で結ばれ、巨大経済圏が生まれる。神奈川、山梨、長野、岐阜県の中間駅周辺でも活性化への期待が高まる一方、「通り過ぎるだけ」との冷めた見方も。期待と不安を乗せ、リニア計画がいよいよ動き出す。
 「夢の超高速鉄道」は日本経済に大きなインパクトをもたらしそうだ。ヒト・モノ・カネが巨大都市圏を効率的に移動することで生産コストの減少や観光振興に伴う消費の拡大が見込まれ、三菱UFJリサーチ&コンサルティングはその経済効果を東京−名古屋間の開業で10・7兆円、大阪延伸で16・8兆円と試算する。
 リニアの最高速度は時速500キロ。400キロ台の上海リニアをしのぎ、陸上の移動交通手段としては世界最速になる。2027年開業予定の東京−名古屋間は最速で40分。政府は「日本のインフラ輸出の大きな武器」(菅義偉官房長官)として米国など海外への高速鉄道輸出に弾みをつけたい考えだ。東海地震が発生した際の迂回(うかい)路として、防災面での役割も期待される。
 一方、「夢の超高速」には課題も山積している。リニアは、国が巨額資金を投じる従来の新幹線とは異なり、建設費約9兆円をJR東海が全額負担する。国の財源に頼ると、ほかの整備新幹線計画とのかねあいで工事が遅れかねないためだ。ただ、南アルプスなどの山岳地帯を貫く名古屋までのルートは、8割以上がトンネル内となる。山田佳臣社長は「現実に掘り出すと、いつ何が出るか分からないが、最新の技術で乗り越える」と説明するが「難工事で建設費が膨らまないか心配だ」(国土交通省幹部)との声は少なくない。
 JR東海の累積債務は2・6兆円。リニアの建設費はもうけのほか借金でも賄う予定で、全線開業時の債務は5兆円程度に膨らむ見通しだ。
 リニアの開通で大きな影響を受けるのが航空業界だ。国交省の11年度の調査によると、東京−大阪間の移動手段はJRが71%、航空機が26%。東京−広島間はJR56%、航空機43%だった。日本人の場合、移動時間が4時間を切ると、飛行機ではなく鉄道を選ぶ傾向にあるといわれるが、リニアの全線開業後は、新幹線などの乗り継ぎで東京から山陰地方や福岡まで4時間圏内に入る。空の需要が大量に鉄道に流出すれば地方空港や地方路線の縮小、撤退につながる可能性もある。【三沢耕平】

 ◇以西ルート未定 当初計画は奈良、逆転狙う京都 同時開業求める大阪
http://mainichi.jp/opinion/news/20130919ddn003020024000c2.htmlより、
 リニア中央新幹線は、名古屋以西の具体的ルートや中間駅の位置は示されておらず、当初の計画に盛り込まれた奈良と逆転を狙う京都が熱い誘致の声を上げている。
 奈良県は「決めるのはJR東海」としながらも「(経由地を)『奈良市付近』とした1973年の国の基本計画通りに進められるはず」と「三重・奈良ルート」に期待する。さらに「周辺のまちづくりに着手しなければならず、駅の位置は早く決めてほしい」と要望。県内では奈良、天理、大和郡山、生駒4市が誘致の意向を表明し、奈良市は、市長をトップに推進本部を発足させた。さらに同県は、市町村などとつくる「リニア中央新幹線建設促進県期成同盟会」(会長・荒井正吾知事)が全線同時開業の要望を続けている。
 一方、京都の政財界からは「京都を通る方が経済効果が高い」との声が上がる。京都市の門川大作市長は18日、報道陣に「40年前に決めたことを踏襲するのではなく、国家戦略として検討してほしい。日本の精神文化の拠点である京都を外すことがどれほど損失になるか」と述べた。京都誘致をめぐっては、京都府や同市が設置した有識者委員会が2012年2月、経済効果などの観点から京都駅をルートにすべきだと提言。これを受けて府と市は国やJR東海への要望活動を本格化させている。
 大阪府は11年度から毎年、名古屋開業の27年に大阪までの全線を同時開業するよう政府に求めている。府企画室の担当者は取材に「国土構造を東京と大阪でデュアル化(双眼化)していくには、リニア中央新幹線は不可欠」と話している。【釣田祐喜、花澤茂人、土本匡孝、堀文彦】

 ◇大阪延伸18年遅れ
 関西経済界は、大阪延伸が東京−名古屋間の開業から18年遅れることに「関西や西日本の地盤沈下につながる」との危機感を抱く。関西経済連合会は、国交相がJR東海にリニア新幹線の建設を指示した11年に研究会を発足させ、経済効果や建設資金の調達方法などを検討してきた。
 自前で資金調達するJR東海が、同時開業に方針転換する可能性は見込めないため、政府・与党に対して、リニア新幹線を国が財政支援するように求めている。【久田宏】

 ◇「通り過ぎるだけ」
 JR東海はリニア利用客数を10年に試算した際、東京−名古屋ノンストップを1時間4本、各駅停車を同1本と想定。だが開業時、中間駅にどの程度の頻度で停車するかは未定だ。中間駅立地自治体には「ほぼ通り過ぎる」との見方もある。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130919ddn003020024000c3.htmlより、
 山梨県は、甲府市大津町のリニア新駅の新規利用者について1日当たり観光1930人、ビジネス800人、通勤通学30人と控えめに見積もる。期待するのは観光資源としてのリニアそのものだ。山梨実験線(42・8キロ)のある県立リニア見学センター(同県都留市)には年間10万人以上が訪れており、リニアは既に有力な観光資源として定着している。
 甲府盆地の地上区間は約19キロある。しかし、JR東海は騒音対策などからコンクリート製の覆いを設置する方針を示しており、リニア見物客の来訪に期待する県は、同社に配慮を求めていく考えだ。
 岐阜県中津川市の中間駅は長野県境に近く、岐阜市からは約70キロに位置する。県職員からは「上京するなら名古屋に出た方が便利」との声も出る。県幹部も「中間駅はほぼ通り過ぎるのと同じ」と話すが、経済効果には大きな期待を寄せる。県はリニア建設予定期間(13年間)の県内への経済効果を1兆9110億円(年1470億円)と試算。開業後は観光客増で年218億円の効果を見込む。【春増翔太、横井信洋、加藤沙波】

 ◇20年東京五輪 一部前倒し期待
 菅義偉官房長官は18日の記者会見で、「東京五輪で海外から多くのお客が来る時に、我が国を代表する技術のリニアに部分的にでも乗ってもらえればいい」と、一部区間の前倒し開業に期待を寄せた。20年の東京五輪に合わせた開業を求める声は経済界の一部からも上がっているが、JR東海の山田佳臣社長は同日の会見で「急げと言われて急げるものではない。工事は丁寧に安全性を確かめないといけない」と否定的な見解を示した。

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